受信部ユニット(中間周波増幅,復調,ノイズブランカー,音声増幅)
上段がノイズブランカーの回路です、広帯域クリスタルフィルタ直後の複同調回路(T1)からノイズを含んだ受信信号を分岐して増幅した後、受信信号からノイズを分離し、整形して、ノイズゲート(T3 1次側)へ戻します。
ノイズゲート後の複同調回路(T3,T4)直後にSSBフィルターを挿入してここから後は希望信号だけが通るIF増幅器になり、復調器、AGC回路、Sメーター回路、低周波増幅器が続きます。
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ノイズブランカー説明
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I F 増 幅 回 路
私がトランジスタのディスクリート回路でハイゲインの高周波増幅器を作ると、必ず発振器となる自信がありますので、迷わずシステム化ICのお世話になることにして当時人気のあったナショナルセミコンダクター社製のLM-373を選びました。
SSB複調器から出て来た音声信号のS/N比が悪く、複調器に供給するIF信号は、もう一度SSBフィルターを通して通過帯域幅を狭めS/N比を改善する必要がありました。
Sメーターアンプは東芝製の差動型一段増幅のICですが、レベルがIFのシステムICと丁度良く合って、うまいぐあいに動作しています。
Zero ADJブリーダーのグランド側にあるシリコンダイオード2個は、IFアンプICのAGC出力DC電圧に温度変動があり、Sメーターのゼロ点が変動したので防止する為に、IFアンプIC頭部に貼り付けて自動温度補償の検出用としています。
IF信号はノイズブランカーの働きを良くするため、ノイズゲートを通過する迄は帯域幅を適度に広くしておく必要がありますが、ノイズゲートを通過してしまえば、ノイズを減らし、混変調を避けるため、目的の信号以外は通さないよう狭帯域にする必要があります。
この辺りの考えを現実的にまとめましたら、フィルターとノイズゲート周りの回路構成は、ちょっと乱暴なことになってしまいました。
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ノ イ ズ ブ ラ ン カ ー
ノイズブランカーの備えるべき条件と解決方法
- 受信した信号から自動的にノイズを分離できる事。分離したノイズに音声信号が混入していない事。
- アマチュアバンドの外のだれも出ていないところを受信したらノイズだけ拾えるだろうと考えてやってみましたが、そんなに甘い話はなくて、どんな周波数を受信しても色々な信号が入って来て断念しました。
- 受信信号からノイズだけを分離するよい回路が見つからず、ドレーク、トリオ、八重洲、その他、等々まねをして見たあげく、八重洲の、ダイオード検波回路を二段積みしたものがシンプルで比較的にうまく動作するので、この回路にこだわる事に心を決め、後には私の思いつきも回路に加わりました。
- 受信信号の強弱にかかわらず、良好に動作すること。
- S1つ程度メーターが振れる弱い信号でノイズレベルも同程度のときノイズブランカーを利かせるにはノイズアンプに相応の感度が必要です。特にこの回路はダイオードで検波するのでダイオードを充分にドライブするレベルが必要です。
- 実験を繰り返しているうちに、音声信号でAGCが深く掛ってしまい、混入しているノイズが増幅されていないことに気が付きました。対策はAGC回路のアタックタイムの時定数を長くすることにし、カットアンドトライで定数を決めました。
- ノイズにも色々の性格があり、あのノイズには有効だけれど このノイズには効かない等あります、幸いにもこの定数で私の一番困るノイズがよくブランキング出来ています。
- イグニッションノイズには全く問題なく良く効きます。
- 至近に強力な局があっても、影響を受けない事。
- 当時の6mマンは猛者が多くて、コンテストともなれば、10Wの出力規制を守らないクラブステーションはザラにいて、私のアンテナから一番近い強力な局は毎回、8キロメートル離れた比叡山に陣取るのが常で、アンテナにゲルマニュウムダイオードとテスターをつなぐだけでメーターの針が動きました、今では信じられないような事があたりまえでした。当時は大電力送信管が容易に入手出来ましたものね。
- 6m&ダウンコンテストには参加したい。強力な局がいっぱい、物凄いノイズがある、そのなかで高性能ノイズブランカーへの欲求は大変なものでした。
- 当時のメーカー製リグのブランカーはどれもIF信号の帯域幅が ノイズゲートを通る迄は25KHzから100KHz程度の広帯域になっていて、強力な局が遠くに出ても 猛烈な混変調になって使い物にはなりませんでした。
RFアンプからノイズゲート迄の通過帯域幅が狭いと分離したノイズ幅が広くなって受信信号をけずるため、音質が悪化すると言うのが理由のようでした。
- ノイズゲートが動作するときはダイオードの非直線部分を使ってゲートするので、妨害信号が入っていたら混変調になるのは当然です。
- 私は ノイズ幅がある程度広くなってもかまわないから、ノイズゲートに妨害信号が入ってこないように帯域幅を狭くしよう、ついてはどのくらい迄狭めても辛抱できるだろうかと考えましたが 私 数学の能力はゼロで理論的に割り出すことが出来ませんので、当時、幸いにも東光が455KHzの各種帯域幅のメカニカルフィルターを発売していたのをいっぱい買い込んで、当時現用していた真空管式の受信機に組み込み、実験で妥協できる帯域幅を決めました。
広帯域のクリスタルフィルターは 専門のメーカーに仕様を明示して特注で作ってもらいました。
私 このフィルターが「ルーフィングフィルター」と名づけられていることを2000年頃になって初めて知りました。
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この項おわり